ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた「オリオン星雲」の最もシャープな姿

2022年3月29日M42,ハッブル宇宙望遠鏡,宇宙画像,探査機,星雲

M42 オリオン座大星雲

ハッブル宇宙望遠鏡のACS(Advanced Camera Survey)が撮影したオリオン大星雲は、これまでに撮影された中で最も鮮明な画像であり、何千もの星が形成されていることを示している。NASAのハッブル宇宙望遠鏡に搭載されたACS(Advanced Camera for Surveys)によって撮影されたこの画像は、オリオン大星雲と呼ばれるこの領域をこれまでで最も鮮明に捉えたものである。この画像には、大小3,000個以上の星が写っている。中には可視光で見たことのない星もある。これらの星は、グランドキャニオンを思わせる台地、山、谷などのドラマチックな塵とガスの風景の中に存在している。
オリオン大星雲は、星雲を形成している大質量の若い星から、生まれつつある星の住処と思われる高密度のガスの柱まで、星形成の図鑑である。中央の明るい部分には、この星雲の中で最も大きな4つの星がある。これらの星は、台形状に並んでいることから「トラペジウム」と呼ばれている。これらの星が放つ紫外線は、星雲に空洞を作り、何百もの小さな星の成長を妨げている。台形星の近くには、まだ若い星があり、その周りを円盤状の物質が取り囲んでいる。この円盤は「原始惑星系円盤」と呼ばれ、この画像では小さすぎてよく見えない。この円盤は、太陽系の構成要素である。
左上の明るい光はM43で、巨大な若い星の紫外線によって形成されている小さな領域である。星が1つしかないため、「オリオン大星雲のミニチュア」とも呼ばれている。オリオン大星雲には、このような星が4つある。M43の隣には、トラペジウムの方向を向いた、密度の高い暗い塵とガスの柱がある。この柱は、トラペジウムの強烈な紫外線による侵食に耐えている。右側の光っている部分は、トラペジウムの星から放出された荷電粒子の流れである恒星風が、物質と衝突してできた弧や泡である。
下部に見えるかすかな赤い星は、ハッブル宇宙望遠鏡が初めて可視光で捉えた無数の褐色矮星(かっしょくわいせい)である。褐色矮星とは、太陽のように核融合ができず、普通の星になるには小さすぎる冷たい天体で、「失敗星」とも呼ばれる。左下の暗赤色の柱は、空洞の壁の端を照らしている。
オリオン大星雲は1,500光年の距離にあり、地球に最も近い星形成領域である。ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された520枚の5色の画像を用いて、この写真を作成した。また、地上の写真も加えて、星雲の形を整えています。ACSのモザイクは、満月の見かけの角度とほぼ同じ大きさです。

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Soraject事務局
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